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自分の好きなこと、特にハロプロ関連の話題とテレビ番組の感想について多く書いています。
『切れた鎖』 田中慎弥
切れた鎖 (新潮文庫)切れた鎖 (新潮文庫)
(2010/08/28)
田中 慎弥

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今回は田中慎弥著『切れた鎖』について書いていきたいと思います。


内容
海峡の漁村・赤間関を、コンクリの町に変えた桜井の家。

昔日の繁栄は去り、一人娘の梅代は、出戻った娘と孫娘の3人で日を過ごす。

半島から流れついたようにいつの間にか隣地に建った教会を憎悪しながら……。

因習に満ちた共同体の崩壊を描く表題作ほか、
変態する甲虫に社会化される自己への懐疑を投影した「蛹」、
暴力と性愛・死と生が一つに融合する瞬間が一人の男の妄想を発露として描かれた「不意の償い」が収録。

ゼロ年代を牽引する若き実力作家の川端賞・三島賞同時受賞作。


感想
著者の田中慎弥さんは2012年に「共喰い」で芥川賞を受賞し話題を集めました。

この時、話題になったのは、作品の中身よりも、受賞会見での田中さんの振る舞いのほうでした。

受賞会見で田中さんは、
「シャーリー・マクレーンが『私がもらって当然だと思う』と言ったそうですが、だいたいそんな感じ」と心境を語り、
さらに、賞をもらったことについて
「断ったりして気の弱い委員の方が倒れたりしたら、都政が混乱するので、
都知事閣下と東京都民各位のために、もらっといてやる。」と
選考委員の一人であった石原慎太郎さんを挑発するような発言をしました。

本人からすればいつも通りの発言だったのかもしれませんが、あまりにも毒が強すぎるその発言に世間は驚き、
会見の直後は連日ワイドショーなどで田中さんのことが取り上げられていました。

じゃあ作品の中身はどうなんだといわれれば、
この「共喰い」は、会見での発言以上に毒が強いというか、刺激に溢れたものだったのです。

『切れた鎖』はその「共喰い」が発表される前に発売された1冊です。

この2つ作品の中にある主人公の苦悩のようなものは通底しているといえます。

正直言えば「共喰い」のほうが表現的にも内容的にも洗練されているように自分は思います。

だからといって『切れた鎖』がダメというわけではありません。

むしろ陰のパワーの勢いだったり熱量はこちらの方が強いように感じられるのです。

そういった意味でいえば、この『切れた鎖』は、
まだ幾分か作家・田中慎弥が若かった時(青かった時)に書かれた作品と言えるのでしょう。
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