今回は角田光代著『愛がなんだ』について書いていきたいと思います。
内容
「私はただ、ずっと彼のそばにはりついていたいのだ」
OLのテルコはマモちゃんに出会って恋に落ちた。
彼から電話があれば仕事中でも携帯で長話、
食事に誘われればさっさと退社。
すべてがマモちゃん最優先で、会社もクビになる寸前。
だが、彼はテルコのことが好きじゃないのだ。
テルコの片思いは更にエスカレートしていき…。
直木賞作家が濃密な筆致で綴る、全力疾走片思い小説。
感想
「恋は盲目」というのはよく使われる言葉です。
この言葉の究極形をいくのが、
この物語の主人公である山田テルコです。
テルコは田中守(マモちゃん)という男のことが大好きです。
しかし恋人ではありません。
”都合のいい女”と表現すべき立ち位置の中で、
テルコはマモちゃんへの思いを暴走させていきます。
「ツカイッパにしてくれて、ぜんぜんかまわないんだ、
つーか、今やることなくて、やることないと頭へんになりそうじゃん?
いろいろ悲観的なこと考えちゃうし。
だから、あれこれたのんでくれると、やることあって私が助かるんだよ。
マモちゃんはさ、遠慮とか気遣いとかしないでいいの。
私に関しては」
(P62から引用)
自分が望んで”都合のいい女”になろうとする、
これは恋人になろうとするための行為ではなく、
マモちゃんとの関係が切れないようにするための行為なのです。
この作品は、「恋は盲目」の恐ろしさを嫌と言うほど教えてくれます。
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