今回は『長いお別れ』について書いていきたいと思います。
内容
父・昇平の70歳の誕生日で久しぶりに集まった娘たちは、
厳格な父が認知症になったという事実を告げられる。
日に日に記憶を失い、
父でも夫でもなくなっていく昇平の様子に戸惑いながらも、
そんな昇平と向き合うことで、
おのおのが自分自身を見つめなおしていく。
そんな中、
家族の誰もが忘れていた思い出が、
昇平の中で息づいていることがわかり……。
感想
自分の家族が認知症になった時、多くの人は戸惑うでしょう。
しかしながら、
突然その人の中から記憶が消えるわけでもないし、
突然その人の性格が変わるわけでもないのです。
この映画で描かれるように、
ゆっくりと長い時間をかけてその人(自分自身)とお別れをしていくのです。
まさにタイトルの「長いお別れ」であります。
この映画の中では、
その時々に起こった出来事や流行ったものを使いながら、
認知症の進行がゆっくり長い時をかけて進んでいく様を描いています。
この映画が、
家族の絆を壊す悪魔として語られることの多い認知症という病を、
家族というものを見つめ直すキッカケとして描いていることは特筆すべき点です。
たしかに認知症は恐ろしい病です。
しかし家族にとって「長いお別れ」の時間を与えられることは、
突然、家族とお別れをしなくてはならなくなるよりも、
ずっと幸運なことなのかもしれません。
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