今回は渡辺敬一郎著
『競馬の裏事情 疑惑の闇歴史』について書いていきたいと思います。
内容
「歴史は史実を多く知っているからと言って書けるものではない。
集めた史料を整理し、駆使するには、史観というものがぜひとも必要だ」
たとえ競馬、六〇年の歴史とはいえ、私にもそれが必要かと思う。
私の競馬に対する史観は、競馬とは馬の競走を通して、
人間社会が持っている善悪、正数と負数、表と裏、ピンからキリまでが、
全部出た象徴の世界だ、ということだ。
とくに裏、陰の部分がおもしろい。
人間の本性が出ているからである。
しかし、これまで出版されている競馬の関係書は、
ありきたりの名馬の物語か、そうでなければ、馬券作戦の本だった。
だから私は本書で、本当に人間の本音が出た競馬の闇の部分を、
名馬名勝負を扱った拙著『最強の名馬たち』(講談社)同様に、
等身大で書きたいと思った。
感想
この本で紹介されているのは競馬の闇の歴史です。
競馬の歴史が振り返られる時、
多くは名馬の話や名レースの話という風に
輝かしい歴史のことが語られます。
しかしその裏には確実に闇の世界が広がっていたのです。
「ただ、私のような自由な立場であれば、正史にないこと、
つまり光の部分とは対照的な闇の世界を書くべきであろう。
それが歴史の真実であり、それこそがフェアな歴史書であると信じる。」
(本文中からの引用)
著者がこう語るように、この本は、
光の影に闇があるという
当然の姿を写し出すことで真実を語ろうとする一冊です。
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