今回は『閉鎖病棟―それぞれの朝―』について書いていきたいと思います。
内容
長野県のとある精神科病院にいる、
それぞれの過去を背負った患者たち。
母親や妻を殺害した罪で死刑判決を受けたものの、
死刑執行に失敗し生きながらえた梶木秀丸。
幻聴が聴こえて暴れるようになり、
妹夫婦から疎まれて強制入院させられた元サラリーマンのチュウさん。
父親からのDVが原因で入院することになった女子高生の由紀。
彼らは家族や世間から遠ざけられながらも、明るく生きようとしていた。
そんなある日、秀丸が院内で殺人事件を起こしてしまう。
感想
かなり重いテーマを扱った作品です。
この山の上にある病院に入院する人たちのことを、
山の下に住む人たちは「山の上の人」と言って遠ざけています。
しかしどんなに人間でも紙一重だと言えるのです。
他人を思いやったがために道を外す人や、
様々な思いが自分の中に渦巻きそれに耐えられなくなった人など、
内容は決して突飛なものではなく、
誰だってそうなる可能性を秘めているのです。
この作品は、
人生の夜に足を踏み入れたそういった人たちが
それぞれの朝を迎えていく様が丁寧に描かれた、心が震える作品です。
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