2021年4月12日付のオリコン週間アルバムランキングで2位を獲得しました。
このことに関する記事が『リアルサウンド』に掲載されていたので以下で紹介します。
2021年4月12日付のオリコン週間アルバムランキングで
初登場首位を獲得したのは
TREASUREの日本デビューアルバム
『THE FIRST STEP : TREASURE EFFECT』で、
推定売上枚数は56,723枚。
次いで2位はモーニング娘。'21『16th~That's J-POP~』(37,754枚)、
3位 ケツメイシ『ケツノパラダイス』(22,697枚)、
4位 いきものがかり『WHO?』(19,244枚)と初登場が続く。
ほかトップ10内の初登場としては、
6位 林原めぐみ『30th Anniversary Best Album「VINTAGE DENIM」』(10,935枚)、
7位 SPYAIR『UNITE』(7,979枚)、
9位 BAE×The Cat's Whiskers×cozmez×悪漢奴等
『Paradox Live 1st album“TRAP”』(6,649枚)、
煌めき☆アンフォレント『新宇宙±ワープドライブ2』(6,589枚)がある。
今回取り上げたいのはモーニング娘。'21の『16th~That's J-POP~』。
'21としては最初のアルバムであり、
モーニング娘。全体としては前作から3年4カ月ぶり、
16枚目のフルアルバム。
そこで「That's J-POP」と掲げるタイトルにちょっと驚いた。
サウンドプロデューサーのつんく♂は、
「『これぞまさしくJ-POP』という気持ちを込めて」の
タイトルだとnoteで述べたうえで、こう続けている。
「日本を代表する女性ボーカルグループとして、
世界中の方々に真正面から
『2021年のJ-POPが聴きたいなら、はいこれをどうぞ!』と
そう言って自信を持ってお届け出来る作品と仕上がっております」
(https://note.tsunku.net/n/n4ac1c481e5a9)
ここで興味深いのは
「日本を代表する」とか「世界中の方々に」といった表現で、
つまり日本の外に向かって掲げる看板として「J」が機能している。
嵐が2019年にリリースした「Turning Up」で掲げた
〈世界中に放て turning up with the J-pop!〉という
パンチラインを連想するような宣言だ。
そもそもJ-POPという語の機能には二重性があって、
国際的な競争のなかで対外的に
「日本」をブランド化するための記号のように見える
(し、実際そうした用法も多い)が、
その由来や内実から言えば、
ドメスティックな含みの強いマーケティング用語としての性格が強かった。
モー娘。'21や嵐の例は、その意図はさておくとしても、
こうした二重性を伴った「J」を前者寄りに定義し直すものだろう。
それでは『16th~That's J-POP~』に収められた
「J-POP」とはどんなものだろうか。
いわゆる「EDM路線」と呼ばれた
アグレッシブなダンスサウンドをアップデートしつつ、
「二人はアベコベ」のようなシャッフルするモータウンビート、
あるいは「人間関係No way way」や「青春Night」など
ファンキーなディスコチューンもある。
「泣き虫My Dream」のようなバラード曲でもビートは太く、
ボーカルの譜割りも切れ味鋭い。
ひとことで言えば、メロディというよりはリ
ズム志向のダンス/ボーカルアルバムだ。
とはいえダンスミュージック的な反復だけじゃなく、
印象的なキメが盛りだくさんなのがユニークなポイントだろう
(それはつんく♂の作家性そのものでもあろうが)。
たとえばアルバムの冒頭を飾る「愛してナンが悪い!?」は、
1番Aメロの乱れ飛ぶ擬音や
Bメロの促音を生かした言葉のグルーブ感もまず面白いけれど、
2番のAメロに出てくる思い切った休止がやけに耳にこびりつく。
具体的にいうと
〈単純明快がかっこいいじゃんSimple is best!〉の
〈Simple is〉と〈best!〉の間に唐突に挟まれるタメ。
1曲のなかであそこにしか出てこないのも謎めいていて、
いっそう惹かれるところがある。
「KOKORO&KARADA」(シングルリリースは2020年)のサビで、
ボーカルの譜割りを強調するように
リズム的なキメを連発するあたりもちょっと過剰で面白い。
「人生Blues」(シングルリリースは2019年)のAメロでは、
リズムを強調するために
母音を別録りして違うメロディでかぶせるという異様な演出も飛び出す。
つんく♂本人のライナーノーツによると
「声をパーカッションみたいにして弾(はじ)きたかった」
(https://ameblo.jp/tsunku-blog/entry-12492053663.html)というが、
かと思えば、Bメロから徐々にメロディが前面に出てきて、
サビではマイナー調の歌謡曲的メロディになる
(歌謡曲といっても、寺尾聰「ルビーの指環」みたいな感じだが)。
変拍子とかポリリズムといった意味での
変わったリズムが飛び出してくるわけではないけれども、
随所に思わず「変態」と言いたくなるようなリズムの遊びが入ってくる。
その過程では、
日本語が歪んだり伸びたり縮んだりといった
イレギュラーな事態が当たり前に起こるが、
たしかなスキルによって説得力のある歌唱になる。
それがJ-POPなのだ、と言われたら、
たしかにそうなのかもしれない(我田引水でしょうか……)。
記事にもあるように、
高度な(?)J-POPの世界を見事に表現したのがこのアルバムです。
まさに聴きごたえは十分であります。
一般人の自分は記事にあるような分析はできないわけですが、
それでも十分楽しめますよ。
テーマ:ハロー!プロジェクト - ジャンル:アイドル・芸能