このことに関する記事が『毎日新聞』に掲載されていたので以下で紹介します。
1980年代からたびたびブームを巻き起こしてきた
プラモデル大手、タミヤの「ミニ四駆」。
その人気が再び高まっているという。
背景を探ると、新型コロナウイルスに伴う社会環境の変化に加え、
ブームを盛り上げようとするタミヤの戦略が見えてきた。
◇ミニ四駆ブームは過去に3回
9月初旬の週末。東京・新橋。
ビルの一室に入ると、120メートルを超える巨大な周回コースを
全長15センチほどの小さな車が猛スピードで走り抜けていった。
急カーブを曲がりきれず、コースを飛び出してしまう車も少なくない。
「お父さん、コースアウトしちゃった」
「フロントのパーツを替えてみようか」
コースの周囲では親子が
こんな会話を交わしながら「愛車」に改造を加えていた。
ミニ四駆は、単3電池2本で動くモーターを搭載した自動車のおもちゃ。
82年の発売以来、国内外でファンを広げ、
この40年の累計出荷数は1億8000万台を超える大ヒット商品だ。
タミヤによると、ミニ四駆の大ブームはこれまで3回ある。
最初は80年代末。
87年に月刊コロコロコミック(小学館)で
ミニ四駆をテーマにしたマンガ「ダッシュ!四駆郎」の連載が始まり、
その後アニメ化もされたことで、子どもたちの間で爆発的にヒットした。
90年代半ばの第2次ブームをけん引したのも、やはりマンガだった。
94年に同じコロコロコミックで「爆走兄弟レッツ&ゴー‼」が連載を開始。
子どもを対象にしたミニ四駆の全国大会「ジャパンカップ」が開かれるなど
全国的な盛り上がりを見せた。
この1次、2次ブームを支えた子どもたちが大人になって先導したのが、
2010年代の第3次ブームだ。
12年にジャパンカップが13年ぶりに復活し、大人も参加が可能に。
SNSでの盛り上がりもあり、人気が再燃した。
「子どものおもちゃ」というイメージだったミニ四駆は、
大人たちが購入者の中心を占めるようになった。
タミヤのミニ四駆担当広報の上田琢磨さんは
「第3次ブーム以降、子どもは全体の2割程度。
現在の人気をけん引しているのは大人たちです」と語る。
◇「子どもから大人」…「大人から親子」へ
しかし、ここに来てミニ四駆で遊ぶ子どもたちが再び増えつつある。
きっかけはコロナ禍による「ステイホーム」の拡大だという。
実情を探るため、
国内で最大級のタミヤ製品の取り扱いを誇る
タミヤプラモデルファクトリーを訪ねた。
冒頭の巨大コースを常設する専門店だ。
地下のミニ四駆コーナーをのぞくと、多くの家族連れでにぎわっていた。
「以前は来店者の2、3割が海外からのお客様だったが、
コロナ禍でインバウンド需要がゼロになった。
どうなるかと心配していたが、
ステイホームの影響でラジコンカーやミニ四駆の売り上げが増え、
インバウンドの落ち込みを補ってくれた」。
ストアマネジャーの半谷孝道さんはこう話す。
ミニ四駆の場合、1次、2次ブームでその魅力のとりこになった大人世代が、
ステイホームを機に子どもに買い与えるケースが多いという。
「一緒に車体を軽量化したり、全体のバランスを考えたり。
親子で会話をする機会は確実に増えました」
9歳と5歳の息子2人を連れて来店した都内の男性会社員(39)も
過去のブームの直撃世代だ。
インターネットでたまたまミニ四駆を見かけて、
息子たちのために買ったところ、親子で夢中になったという。
都内の幼稚園に通う渡辺榎南ちゃん(6)も1年ほど前、
家の中でも遊べるようにとミニ四駆を買ってもらった。
以来、父親や姉と一緒にタイヤなど、
さまざまなパーツを集め、改造している。
一番のお気に入りという
熊本県のマスコットキャラクター「くまモン」が
運転席に乗ったミニ四駆を手に、夢中で改造パーツを選んでいた。
ミニ四駆は現在、200車種ものラインアップがある。
さらにタイヤやボディーの補強プレート、
コーナリング性能を左右するローラーなど200種類もの補強パーツがあり、
それらを組み合わせてスピードアップできるのも魅力の一つだ。
半谷さんは
「空気力学など時に高度な知識も必要になる。
子どもの教育用にミニ四駆を買っていく人も増えています」と話す。
◇「第4次ブーム狙う」タミヤの新戦略
時を経て戻ってきた子どもたちのミニ四駆熱を第4次ブームにつなげようと、
タミヤも新たな手を打っている。
補強パーツの多さがミニ四駆の魅力だが、
その半面、小さな子どもにとってはパーツの選択、
取り付け作業が高いハードルになっていた。
そこで、タミヤは8月末、
最初から補強パーツが付いた新商品「レーザーミニ四駆」シリーズを発売。
過去のブームを後押ししてきたコロコロコミックも、
9月号から「レーザーミニ四駆」を題材にした
新連載「ミニヨンキング」の掲載を始めた。
同時に、タミヤとコロコロコミックによる
ユーチューブチャンネル「MINI 4WDチャンネル」も開設し、
子どもたちにミニ四駆の魅力を直接、訴えかける作戦だ。
「(現在の子ども世代の)ムーブメントの中心はゲームだが、
実際に自分で一から組み立て『小さな車』が出来上がるのは
今の子どもにとっても魅力となる。
レースにも大人すらもとりこにする奥深さがある。
ミニ四駆には普遍的な魅力があり、世代や時代など関係ない」。
コロコロコミックの秋本武英編集長はこう強調し、
「昔のような大ヒットを目指せると確信している」と期待をかける。
世代を超えて、息長く人気を集めてきたミニ四駆。
再び一大ブームが巻き起こるのか。
第1次ブーム直撃世代の筆者も注目したい。
自分は第2次ブームが直撃した世代です。
第3次ブームが来た際も、
またブームが来ていることに驚かされましたが、
やはり時代は繰り返されるんですね。
遂に第4次ブームが到来したわけです。
こうなってくると、
スーパーヨーヨー、たまごっち、ベイブレードあたりが
順番に再ブームになってくるなんてことが、
冗談ではなく起こってきそうな気がします。